第1 二回試験の特徴
二回試験は,修習生を,実務家として世に放してよいかの最終検査のための試験である。
(1)消極方向の検査
世に出していけない人を選別するための試験であって,世に出してよい人を選び出すための試験ではない。
ア 一応の推定あり
修習生は,原則として,既に司法試験を通過している。おまけに,1年間の修習を経ている。そのため,一応は,実務家として世に出しても国民に迷惑をかけないレベルまで到達していると,推定される。
それを覆すような起案をしてしまったときだけ,消極方向の検査に引っかかる。
イ 満点不要,一番になる必要なし
それゆえ,満点は不要。また,一番になる必要はない。
消極方向の検査をクリアするだけの成果を上げれば,それで100点。
(2)実務家への検査
実務家になる人を選別するための試験である。芸術家や研究者を選び出すための試験ではない。
ア 最低限の法律知識
最低限の法律知識が要求される。
実務家の共通言語レベル。
要は,条文・判例・通説。
イ 型にしたがった知的作業の能力
また,実務家には,型にしたがって,定型的に知的作業を処理する能力が必要。なので,素直に型に従う力も要求される。
二回試験は,ある意味,“研修所の卒業試験”である。
(1)公式見解:研修所の卒業試験ではない
公式見解としては,二回試験は,独立の国家試験である。研修所の卒業試験ではない。。
(2)試験委員=教官
しかし,二回試験の試験委員は,研修所の教官。二回試験の問題を作るのも,採点基準を作るのも,採点をするのも,皆,教官である。
(3)集合修習
一方,集合修習では,教官作成の起案を解き,それについて教官の講評を受ける。。
ご存じの通り,起案と二回試験の問題は,ほぼ同じ。(というか,過去の二回試験問題が使用されること多数。)
集合修習では,起案について,どのようなことを書けば点になるか,教官が,懇切丁寧に指導する。こんなことを書いてほしいんだ,ということを,包み隠さず述べる。
間違いのない採点基準が,目の前に示されている。
(司法試験予備校が行う司法試験対策講座とは,次元が異なる。)
(4)帰結
こんな試験なので,二回試験は,資格試験と言うよりも,学校の期末試験に近い。
ということで,二回試験は,研修所の卒業試験である。教官が教えてくれたことに素直に従えばよい。
3 書面一本勝負
(1)書面一本勝負
二回試験で提出できるのは,起案用紙のみである。
そこに記載されたことだけで,すべてが判断される。
(2)文章のみ
また,起案用紙に記載できるのは,原則として,文章である。
チャート図や時系列表を記載したり,プレゼン資料のようなものをくっつけることはできない。
文章によって,出題に答えなければならない。
4 5科目
5科目ある。全部通らないといけない。(どこかで引っかかったら,アウト。)
科目ごとに特徴がある。
code:その特徴は、
ⅰ どの手続段階の書面か?
ⅱ どの役割からの,何を目的とする書面か?
によって決まっている(ような気がする。)
たとえば,
民裁主張整理 人証調べ前の争点整理段階における,民事裁判官による争点整理案 民事弁護 口頭弁論終結直前による一方当事者代理人から 検察 終局処分段階(起訴前)に,担当検察官が,上司に決済を仰ぐ場面